日向 HIMUKA
机の上に置かれた水筒を見て、
にべもなく日向が言う。

まったく可愛げがない。
ぼくは、
聞こえなかったふりをして、
歩道わきの石段に腰をおろした。

そうしている間にも、
日向の手は、
もうココアに伸びていた。

「ミカのことだけどさ」

ぼくは、昨日のことをすべて話した。

ミカの夢のこと。
その張本人が、
夜中にぼくのところへやってきたこと。

それに、関係がないかもしれないけど、
寂しそうだったミカの顔……。

日向は、
ひと言も口をはさまず聞き終えてから、言った。

「はっきりとはわからんが、
ミカの話とはどこか違うようじゃな」

「そうなんだ。
どうも死神なんて感じがしないんだよな。
だいたい死神が子供に泣かされるかい?」

「確かに」

「それにあのひと言」
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