日向 HIMUKA
霊子線
(九) 霊子線

「人はいつかあの世へ帰るもんだ。
その時になって迷うことがないように、
人の魂は、肉体に宿りながらも、
時おりあの世へ赴くことがあるんじゃ。
まぁ、お前はどうか知らんが……」

なぜか意味ありげに日向が笑う。

「何だよ」

「地獄的な夢をよく見る時は
気をつけたほうがいいかも知れんな。
それが行く末を暗示していることがある」

「ぼくが地獄へ行くって言いたいのか!」

冗談とも、本気ともとれる日向の言い草に、
ぼくはついムキになってしまった。

「まぁ、あの世は心の世界であり、
この世の延長だ。生きている間に
心の中に悪しき思いをためこんだまま死んだ者は、
その思いのままの世界へ行くだろうが、
そうでないならそうムキにならんでもええだろ?
それはさておき、やたらに景色が鮮明だったり、
感触がリアルな夢を見たことは?」

「あるかも知れない、ないかも知れない」

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