日向 HIMUKA
ミカの部屋では、
先に来ていた日向が、コーヒーをすすっていた。

ミカは、
ジャージの上にカーディガンをはおって、
ソファではなく、絨毯にぺたりと座りこんでいた。

そのすぐ横で、
プリンが喉を鳴らしていた。

ミカは、
そのしなやかな体を優しくさすりながら、
ぼくを見上げた。

その瞳に活気はなく、とろんとうるんでいる。

「よ、熱下がったか?」

「ううん」

ミカは、
無理な笑顔を浮かべながら、首を横にふった。

「そうか、無理すんなよ」

そういいながら、
でっかい風呂敷き包みを、
でん、と適当な場所に置いて腰を下ろす。

入れ替わるように、ミカが腰をあげた。

「何か飲む?」

「いいよ、自分でするから座ってろよ。
それより何か食べたのか?」

後を追いながらそう訊くと、
ミカは、ううん、と小さく首をふった。

「食べる物はあるんだけど、食欲がなくて」

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