日向 HIMUKA
「あったかい……」

「今つくったばっかりだからな」

一口ほおばっただけで、
感激に目をうるませている。

歓喜にひたるその表情が、何だか切ない。

ただひたすらにおにぎりを口に運ぶミカに、
ぼくは、ミカの新たな一面を知った気がした。

ミカってものすごい大食いだったんだ。

次から次へと口に放りこんでは、
どんどん胸をたたいている。

たかがおにぎりを、
こんなに喜んで食べるやつを見たのは、初めてだった。

でも、悪い気はしないな。
ちょっぴりくすぐったいような、照れくさいような。

女の子にプレゼントを贈った時の気持ちって、
こういうものなんだろうか。

だったら、悪くないかも知れない。

「ところで」

一人英雄気分に酔っていたぼくの頭に、
日向のがらがら声がわりこんだ。

「わしも食べてもいいんだろうな」
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