日向 HIMUKA
ミカは、
おにぎりから元気をもらったかのように、
少し力を取り戻したようだった。

ぼくがせっせとお茶を入れ、
二人はやっと一息ついた。

日向がさっそく切りだす。

「まず計画を実行するには、ミカに眠ってもらわんとな」

「ちょうどお薬の時間だから、それ飲んだら眠れると思うわ」

「ここでもかまわんか?」

 日向が、ソファを指さして言う。

「ええ、私はどこでも眠れるの」

 ミカの返事をきいて、
日向がぼくに向き直った。

「おい、お前薬とってこい」

「はいはい、分かりましたよ」

ぼくと日向のやりとりに、

ミカが笑い、すぐに申し訳なさそうな顔をして言った。

「ごめんね。となりの和室の棚の上の方にあるから」

「うん」

同じマンションなので、
あまり戸惑うこともなく、
それらしき棚を見つけることができた。

茶色い箱を引き出して薬を探す。

あったあった。

目指すものをつかんで、箱を戻す……と。

あれ?戻らない。

出した時と同じ要領で入れてみても、
何かが奥で邪魔をしてうまくいかない。

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