日向 HIMUKA
「この水晶は、
まず色で教えてくれるんじゃ。
生霊なら紫。悪しきものは灰色。
動物霊などは深緑。そして白は……」

「白は?」

「白い色が示す霊は、
決して悪いものではない。
むしろ善念をもっている者だ」

だけど、
いつまで見ていても、水晶は、
はっきりとその正体を映し出す気配を見せない。

白い輝きは増すものの、
中の動きは、
なかなか形を見せることはなく、
ただ風に流れる雲のように、
球の中を泳いでいた。

「ためらっているのかも知れんな」

「何を?」

「夢の中に現われるのをじゃよ」

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