日向 HIMUKA
何だか知らないけど恥ずかしくて、
ぼくは曖昧に返事をした。
とたんにミカがぼくの背中をたたく。
思いきり。

「ハルキくん、何緊張してんの?」

「べ、べつに……」

 余計なこと言うんじゃないよ。

「私今からでかけるの」

ミカは、うれしくてたまらないという顔をして早口に言った。

「どこに?」

「お墓参り。おじいちゃんの命日だから」

「おじいちゃん?」

初めて聞いた。

それに少し驚いた。

おじいちゃん、亡くなってたんだ。

ぼくなんか、
おじいちゃんとおばあちゃんなんていう存在は、
田舎へ行けばいつでも会えるもんだと思ってたから。

「そう……」

「うん」

 ミカの頬の赤みが、楽しげな顔につられてさらに広がった。

墓参りってそんなに楽しいものなのかな。

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