日向 HIMUKA
カラフルなピエロのマスクを被った
貧相な体格の幽霊が、そこに現れた。

ミカも今こいつと対面しているはずだ。

まずは、
こいつのマスクをとらせなければならない。

それに、しつこく夢に現われるわけを聞き出すんだ。

ミカ、頼むぞ。

ぼくたちは、
祈るような気持ちで、水晶に見入っていた。

その時、

「何やってるの!あななたち」

背後から聞こえた静寂を破るかなきり声に、
ぼくは思わず飛び上がった。

「何じゃ?」

けげんな顔つきで日向がぼくに聞く。
まるで動揺のかけらもない。

振り返ったぼくは、
リビングからまっすぐ見える玄関で、
まゆを吊り上げて立っているその人に気をとられながら、
日向に言った。

「ミカのおばさんだ」
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