日向 HIMUKA
「ちょっとミカ、大丈夫?何をされたの?」

くっつきそうなほど顔を近づけて、
おばさんが声をかける。

「あのぅ、……」

ぼくは、
恐る恐る口をはさんだ。

「ミカ、熱があるんです」

「何ですって?」

食ってかかるようなおばさんの態度にも
まるで動揺を見せず、
日向は、
これ以上ないほど冷淡な口調で言った。

「娘の病気も気がつかんとはな」

おばさんの燃えるような目にも、
日向はひるむ様子もない。
腹のすわったその態度に、
ぼくはひそかに舌をまいた。 

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