日向 HIMUKA
ミカは、よほど薬が効いたのか、
疲れていたのか、
目をさます様子はなかった。

「説明してちょうだい」

おばさんがぼくに向きなおり、
真正面からぼくを見据えた。

その時のぼくは、
生霊に襲われた時よりも、
ピエロ男が現れた時よりも
カチンカチンだったに違いない。

おばさんは、
いつまでたっても緊張で口をわらないぼくを見限ったらしく、
今度は日向に目をむけた。

「どういうことですか?」

日向が淡々と説明した。

まずは、
霊媒師件、友人としての自己紹介をしてから、
ここ数日ミカが元気をなくしていたこと、
その原因が、
毎晩夢に出てくるピエロの幽霊だということ、
そして、
ミカがそれを死神だと思いこんでいることなどを
手短かに話した。

< 64 / 85 >

この作品をシェア

pagetop