日向 HIMUKA
「とんでもない!
そんなつもりななかったんですがね。
すっかり誤解されてしまいました。
あげくのはてに出て行けなんてねぇ」

おじいちゃんがまた涙ぐんだのを見て、
ぼくはあわてて違う質問をした。

「じゃぁ、おいでおいでっていうのは?」

伺うようにぼくが訊くと、
おじいちゃんは、
少し寂しそうな目をして言った。

「昔はいつもそう言いながら
追いかけっこをしたもんだったんですがねぇ。
おいでおいでをすると、
ミカは、ケラケラ笑いながら走ってきてねぇ。
また追いかけてほしかったなぁ」

おじいちゃんは、
愛しそうにミカの寝顔に顔をよせて、
やせた手をのばした。

でも、
異次元空間を生きているおじいちゃんの手は、
孫の体に触れることはできないようだった。

それでもおじいちゃんは、
いつまでもミカを見つめていた。

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