日向 HIMUKA
よくわからない。

でもまあ、ミカにとっては、
何か特別なイベントであるらしいことは、
その様子から察することはできたので、
ぼくは、気をつけてね、
と気持ちよく見送ることにした。

「ありがとう。はるきくんも、体こわしちゃダメよ、せっかくのお休みなんだから」

「りょーかい」

少したしなめるような口調が、やはりミカだ。

ぼくは、ミカに手をふってから、
おじさんとおばさんにも軽く頭を下げた。

二人は何も言わず、じゃ、みたいな感じで微笑んだ。 

駐車場へ向かうミカの後ろ姿が、
はじめて散歩に出た子犬みたいに、はじけている。

まるで小さな子供みたいに二人の間に入って
服のそでなんかひっぱったりして。

甘える娘をどんな風に相手するのか、
あの怖そうなおじさんからは想像もつかないけれど、
ミカは、そんなことおかまいなしに
はしゃいでいるようだった。

ぼくには真似できないな。
今さらあんな風に親にあまえるなんて。

でもまぁいいや。
とにかくミカが元気になってよかったよかった。

ついでにもう一つ驚いたことがあった。

ミカがスカートをはいてたんだ。




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