日向 HIMUKA
ぼくは、
さっきの出来事を思い出して、
ポケットからマスクを取り出して言った。

「このマスクなんですけど……」

「ああ、
これは誕生日のプレゼントのつもりだったんですよ。
もうじきあの子の誕生日でしょう?
でもこれをあげる前に
あたしは逝ってしまったんで渡せずじまいでした」

「それでそんなものつけて出てきたんですか?」

あきれるぼくに、
おじいちゃんは、軽く笑って言った。

「あの子の驚く顔が見たくてね」

ぼくは何だか力が抜けた。
驚かせすぎだっつーの。

「でも何でぼくのところに?」

「ああ、あの時はすっかり動転してましてね。
まさかミカに二度と現われるな、
なんて言われるとは思ってもみなかったもんで。
ミカと仲良しのあなたなら
何とかしてくれるかと。
でも考えてみれば
ミカが怖がるのも無理もないことなんですが……」

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