日向 HIMUKA
「それには意味があるんじゃよ。
仏が創られたこの世界に意味のないことなど何一つない。
つまりな、人というのは、
それだけの歳月をかけて愛情をそそがれなければ
立派に巣立っていけん生き物なんじゃよ」

「私が愛情をかけていないっていうの?
それにミカはもう中学生よ。
親に甘える年じゃないわ」

おばさんは、
爆発しそうな心を
どうにか理性でおさえているかのように、
鼻をひくひくさせながら言った。

「忙しい合間をぬって食事の用意もしてあるし、
洗濯だって掃除だって、
あの子に負担をかけないようにきちんとしてるわ。
これ以上どうしろっていうの」

 一気にまくしたてるその様子は、
まるで追い詰められたねずみが
相手に向かっていくみたいに、
敵意がむき出しだった。

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