日向 HIMUKA
本当に幸せそうだった。

そして、
いつも一人でいると話していた時の
悲しそうな顔を。

「食べるものを用意するとか、
家の中をきちんとしておくとか、
そんなことじゃないと思います。
ミカが欲しいのは」

「子供に何がわかるの」

「子供だからわかるんだ。
うまく言えないけど、
あの時、おじさんとおばさんと歩いてた時のミカの顔、
気付かなかったんですか」

「どれだかしっかりしているように見えても、
この子はまだ子供なんだよ」

おじいちゃんの口調は優しく、
決しておばさんを責めている風じゃなかった。

でも、おばさんは、
この場の雰囲気から、
自分が悪者扱いされていると思ったらしい。
かみつくきそうな顔をして
おじいちゃんに食ってかかった。

< 75 / 85 >

この作品をシェア

pagetop