日向 ＨＩＭＵＫＡ

おじいちゃんが寂しげに笑った。
その表情にぼくはほっとした。

よかった。
この人は分かってくれている。
うまく伝えてくれる。
そんな気がした。

「悪くはないよ。
お前はよくやっている。
ミカは、そんなことも理解できないような子じゃない」

「じゃぁどうすれば……」

「関心を向けるんだよ。
ミカが悲しんでいるのは、
お前たちがいつ
も家にいないことじゃない。
誕生日を祝ってやれないのなら、
言葉だけでもいいんじゃないか？
ミカの好きな色、
食べ物、悩み事や学
校での出来事をお前は知っているのかい？
短い時間でもいいんだ。
何よりもミカに関心を向けてやりなさい。
ミカの心を理解してやろ
うと思うことだよ。
いつも愛していると安心させてやることだ。
ミカは、
お前たちに愛されていないと思っているようだった。
そして、幼い頃の思いでばかりに浸っていたよ。
とぎれとぎれのあたしとの
思い出ばかり探していた。
だからあたしは、せめて夢の中だけでも
一緒に遊んでやりたかった。
この子がまだ小さかった頃みたいにね」