日向 HIMUKA
ぼくは、
見違える思いでおじいちゃんを見た。
泣き虫なだけじゃなくて、
結構いいこと言うじゃん。

おじいちゃんが、
優しい目でミカを見下ろしている。

その先で、何もしゃべらず、
静かに横たわるミカが何だか痛々しかった。

いつも強がりばかり言ってたミカ。
元気を装ってたミカ。しっかり者だったミカ。

それが全部嘘だとは思わない。
それもミカの一部だと思う。

でも、
もっと深い心の奥で、
ミカはいつも泣いてたんだ。

一人ぼっちで。
だから、
母さんがつくったほかほかのおにぎりを、
あんなにおいしそうに食べたんだ。

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