日向 HIMUKA
クリスマスは、真っ白な朝から始まった。
窓の外に広がる一面の銀世界に、
思わず息をのむ。

あれから雪はたえまなく降りつづき、

絵葉書のような景色をつくりだした。

氷のように冷たい空気に身をひきしめ、
ぼくは踊り場へ出た。

日向はいなかった。
またどこかで誰かの悩みでも聞いているんだろう。

その時、
近くで扉のあく音がした。

おせっかいで、気が強くて、
いつも元気なミカが顔をのぞかせている。

「日向はいないよ」

ゴミ置き場をのぞくミカに、
ぼくは言った。

あれからピエロは出てこないと、
ミカは言った。

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