学校恋愛ダメ、ゼッタイ。
「我が会長ながらなんと恐ろしい事を……」



半沢は祈るポーズで膝を下り、羨望とも畏怖ともピカソのゲルニカとも取れる顔で私を見上げた。



「しかし……手芸部員がかわいそうでは……」



誰かが言った。



小さな声だったが、皆の心を惑わすには十分だったようで、共感する奴も出てきた。



ちっ。



私は聞こえる様に舌打ちをする。まさかこの中にまだ良心を持っている奴がいたとは……。



「そんな事は考えなくていい。元々、手芸部とは名ばかりで放課後に集まって無駄話をしてるだけだからな。それならば私達が有効に使わせてもらう」



「しかし……」



「しつこいな。ならば教えてやろう。……手芸部員は全員彼氏持ちだ」



『な、なんだと!』



一瞬で全員から遠慮という二文字が消えた気がした。



しかし、念には念を入れる。



「しかも部員の中には彼氏と授業中に抜け出して、部室で卑猥な快楽に身を狂わせている奴もいるらしい」



『ゆ、許せん!!』



今度は良心という二文字が消え、代わりに憤怒という二文字が入った。



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