降りやまない雪は、君の心に似てる。
灰雪と氷の少年
世界はこんな時にだけ私の背中を押す。
羽田空港から553便に乗って東京を離れたのが午前10時45分。それから1時間半のフライトを終えて、私が降り立った先は北の大地北海道。
旭川空港に着いて手荷物だけの私は預け荷物のコンベアの前で長蛇の列になっている人たちを通りすぎて出口へと歩く。
「――小枝(さえ)!」
Aゲートを抜けるとすぐに私を呼ぶ声が響いた。
そこにいたのはおばあちゃん。久しぶりに会ったというのにすぐ私に気づいたことと、おばあちゃんの顔が想像してたよりも変わってなくて驚いた。
「ちゃんと着いて良かったわ。飛行機揺れなかった?」
「けっこう揺れてた。次の便は飛ばないかもって、そこで誰かが話してたよ」
「この吹雪ならそうでしょ。小枝が乗る飛行機が欠航にならなくて良かったわね。あ、荷物持ってあげる。車はすぐそこの駐車場に停めてきたから」
おばあちゃんは私の背負っているリュックを指さした。
そんな会話をしている間にターミナル内では「吹雪のため旭川空港出発および到着の全便欠航をお知らせします」というアナウンスが繰り返し流れている。
一緒に東京から乗ってきた人たちは「運が良かったね」と笑っていて旅行なのか帰省なのか、なににせよこんなに重たい気分なのはリュックだけのせいじゃない。
「ううん。平気。荷物は自分で持つよ」
私はそう言っておばあちゃんの車へと向かった。
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