降りやまない雪は、君の心に似てる。


私たちは池からさほど離れていない白いログハウス風のレストランに入ることにした。


「小枝はなににする?」

テーブルに案内されたあと、手書きで書かれているコルクボートのメニューを俚斗は見ていた。個人でやっているお店なのかメニューは数えるほどしかないけれど、どれも美味しそう。


「私はこれかな」

悩んだけれど、オススメと書かれていた【美瑛のカレーうどん】を指さす。普段はあまり選ばないけど、なんだか無性に口がカレーうどんを欲している。


「あ、俺と同じだ」

俚斗はそう言って、店員さんを呼んで私のぶんも注文してくれた。


テーブルに置かれたお水を飲みながらも、改めて俚斗が真正面に座っているのが変な感じで、私はどこに視線をおいたらいいのか分からなくて、お店に飾られている置物を無意味に見つめていた。


「ライトアップの時、多分すごく寒いと思うよ。その格好で大丈夫?」

意識をすればするほど会話が下手くそになるから、俚斗から話を振ってくれて助かった。


「平気だよ。これでもけっこう厚着してる」

ちゃんとお腹と靴下にもカイロを貼ってきたし、ポケットにも貼らないカイロが入ってる。

もともと私は俚斗をライトアップに誘う予定だったし、防寒対策は一応してきたけど……。


「俚斗こそ大丈夫なの?」

コートを脱いだ俚斗はどう見てもトレーナーしか着ていなくて、コンビニに行く時でさえ冬はこんな軽装では外に出られないレベル。

考えてみれば、今日見ようなんて私の勝手な都合だし、事前に言っていれば俚斗もそれなりの準備ができたはず。
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