降りやまない雪は、君の心に似てる。


俚斗は箸の持ち方や食べ方がものすごく綺麗で、もっと欠点だらけでもいいのにって思う。外見も内面も、テーブルマナーも完璧だなんて、ズルすぎるから。


「小枝、カレー跳ねてる」

俚斗のひとつひとつの動きを目で追っていると、突然私のセーターを指さした。


「え、嘘っ」

慌てて確認すると、ぷっと俚斗が吹き出して「嘘」と目を細める。


「やめてよ。カレーって洗濯しても落ちないんだから」

「でもよそ見してたらこぼすのは本当」


……よそ見じゃないよ。俚斗のことをちょっと見すぎてしまっただけ。

跳ねないように慎重に食べる私を見て俚斗がクスクス笑うから、余計にうまく食べられなくなってしまった。

俚斗は男の子だからやっぱり食べるのが早くて、私はまだ半分も残ってるのに、先に食べ終えてしまった。


「ゆっくり食べなよ」

そう言われても、見られている気がして緊張する。

なんだか私のカレーうどんだけ麺が長い気がするし、ヘビのように動くから箸で上手に掴めない。

それを見て俚斗がまた笑うから、さすがに私は怒った。


「やだ、本当に。見ないで!」

こんなんじゃ食べ終わるまでにライトアップが終わってしまう。


「えーだって嬉しくて」

「嬉しい?」

「誰かとご飯を食べるのも、こうして向かい合って誰かがご飯を食べてるのを見るのも久しぶりだからさ」


ズキンと、鈍い痛みが胸に刺さる
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