降りやまない雪は、君の心に似てる。


「……俚斗って、いつも温かいものとか食べれてるの?」

この言葉には色んな意味があった。でも俚斗は私が寺本と接触したことを知らない。


「ん?奇病で、ってこと?こうして箸とかスプーンで直接口に入れるものなら平気だよ。手で持って食べるものは冷凍庫に入れたみたいにキンキンになっちゃうけど」

「え、あ、ごめん。前におにぎり……」

「おにぎりは冷える前に食べられるから余裕」

ニカッと俚斗が男の子らしい顔をした。


「奇病と向き合うのも大変だね」

「はは、もう慣れたよ」

病気には必ず原因があるように、奇病にもきっと解明されていない原因があるはず。それを突き止めない限り俚斗は解放されることはない。


「俚斗はさ、なんかやってみたいこととか、やりたいけどできないこととかあったりする?」

私は無力だし、俚斗の奇病を治してあげることもできない。だからせめて俚斗の望むものをひとつだけでも叶えてあげられたらと思っただけ。


「うーん。やりたいことっていうか、見てみたいものはあるかな」

「なに?」


「オーロラ」

予想外の言葉に、私の瞬きが多くなる。

たしかにオーロラは寒い場所でしか見ることができないものだけど、カナダとか外国のイメージが強いというか……。


「北海道でも見れるんだよ」

「ええ!そうなの!?」

店内だということを忘れてつい大きな声が出てしまった。他のお客さんからの視線に肩をすぼめながら、咳払いをしてなんとか誤魔化す。

声のボリュームに気をつけながら私は確認するようにもう一度聞いてみた。
< 107 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop