降りやまない雪は、君の心に似てる。
「か、からかうと全部食べちゃうからね!」
「ダメ」
仕方なくソフトクリームを俚斗に差し出すと、私がコーンを持ったまま俚斗はアイスを食べて「美味しい」と笑う。
こんな風に、俚斗の抱えてるものも半分こできたらいいのに。
私はとても役立たずだけど、その背中にある重たいものを分けてほしい。それで彼の気持ちが軽くなるのなら、奇病というものが消え去ってくれるのなら、私はいくらでも背負いたい。
店を出て再び青い池に戻る途中の道で、私はふと足を止めた。
電柱に貼られている張り紙が風でヒラヒラと今にも剥がれそうで、自然とその場所へと近づいていた。
そこには、【この子を探しています】の文字。
それは迷い猫の張り紙で、写真にはまだら模様が特徴的なぶち猫が写っていた。
「……可哀想。こんなに寒いのに」
「雪が降ると景色が変わるから、猫も帰り道が分からなくなっちゃうのかも」
俚斗が隣で言う。
たしかホワイトアウト現象だっけ。一面雪で真っ白になってしまうと自分がいる方向や場所が急に分からなくなってしまうらしい。
「でも雪国育ちの猫はそんなに弱くないよ。雪でもちゃんと生きる方法を知ってる」
俚斗は無事を願うように写真を指で触った。