降りやまない雪は、君の心に似てる。
そして、ライトアップの時間になった。
青い池には昼間よりも観光客がいたけれど、やっぱり元旦ということで人も疎(まば)らだった。
「小枝、こっち」
俚斗が見えやすい場所を確保してくれて、私はそこに立つ。この時間帯は見学可能域が決まっていて、遊歩道の中央部分だけが許されている。
「寒いからカイロで手を暖めておきなよ」
「……うん」
カイロを両手で擦り合わせながら私は白い息をはく。
俚斗は私の変化に気づいていない。
私も必死で平然を装っている。頭でゆっくりと整理しながらも、気持ちだけはザワザワとうるさい。
そんな私とは真逆に、後ろにいたカップルは人目も気にせずイチャイチャとしていて、彼氏は彼女の手が冷えないように自分のポケットへと誘導していた。
おそらくポケットの中では、恋人繋ぎをしているのだろう。
「暖かいね」なんて言いながら顔を寄せ合うカップルの姿に、私は自然と俚斗の寒そうな手を見てしまう。
私は俚斗の温度を知らない。
だけど、本当の俚斗は、きっとカイロなんかよりもずっと早く手が暖まるぐらいの優しい体温をしてると思う。