降りやまない雪は、君の心に似てる。
そして私たちは最終のバスに乗った。
ライトアップを一緒に見ていた人たちはほとんどが観光バスかレンタカーだったようで、道北バスには数えるほどしか乗車していない。
山道は外灯が少なくて、バスから見える景色は暗い森。でも薄気味悪さよりも、ライトアップの余韻のほうがずっと強かった。
「また一緒に見たいよね。たしか2月下旬までやってるから――」と俚斗が言葉を言いかけて止めた。バスの振動に揺られながら少し考えて、続きを濁すように笑って誤魔化す。
冬休みが終わるまであと一週間。東京に帰りたくない気持ちだけは立派にあるのに、それ以上のことはなにも決まってなくて、浮き足だった状態なのは冬休み前と同じ。
このままじゃ、なにも変われない。
私はなにしにここに来たんだろう。逃げるため?
現実から解放されるため?
ううん、違う。私は……。
その時、次に停車する場所のアナウンスが聞こえて、それは俚斗が降りる原野6線だった。俚斗は降車ボタンを押して立ち上がる。
「あ……」と声が漏れたのは私のほう。いつもと同じバスのスピードなのに、今日はとても早く感じた。
「ん?どうしたの?」
普段、引き止めたりしない私が言葉を言いかけたから、俚斗は不思議そうな顔をしていた。