降りやまない雪は、君の心に似てる。
ねえ、俚斗は知ってる?
手を繋ぎながら寝ると、繋いだ相手と同じ夢が見られるって話。
もし今俚斗と手を繋げたら、私の想ってることや考えてることが言葉にしなくても俚斗に伝わるだろうか。
臆病なぶんだけ、傷が疼(うず)く。俚斗と重ねた右の手のひらの傷跡が、窓に付いた水滴で涙のように濡れていた。
そしてバスのドアはゆっくりと閉まる。気づけば、私は慌てて席を立って「すいません!降ります!」と叫んでいた。
外に出ると、車内で暖まった身体の熱が一気に奪われていく感覚がした。私を降ろしたバスはそのまま発車していって、暗闇の山道へと消えていく。
「さ、小枝……っ!」
すぐに俚斗が駆け寄ってきた。
「な、なんで降りたの?」
その顔はビックリを通り越していた。
さっき見下ろしていた俚斗の顔はもう見上げなければ目が合わなくて、呼吸の音も聞こえてしまいそうなほど周りからは音がしない。
『なんで』と聞かれても困るけど、ただただ単純に、このままじゃ帰れないと思った。
……ううん。私が帰りたくなかった。
「……どうするの?あれ最終だよ。どうやって帰るつもり?」
俚斗は怒っているというより呆れていた。