降りやまない雪は、君の心に似てる。
「……お母さん、お父さんってどんな人?」
でもやっぱり気になるから、私はこうしてお母さんとふたりきりの時にだけこっそりと聞きたいことを尋ねている。
「いい人よ。……でも今は色々と忙しいみたいなの」
お母さんの声のトーンが急に暗くなった。
そして私の髪の毛を結び終わったあと、言い聞かせるように鏡越しで私に微笑む。
「でもいつか必ず4人で暮らせる日がくるからね」
お母さんは事あるごとにこの言葉を口にする。
正直、私はお父さんと一緒に暮らしたいとは思わない。
顔も声も知らない人だし、同級生の子たちのお父さんと私のお父さんが明らかに違うことは分かっていた。
それでも、なんて呼んだらいいのか困るから、簡単に『お父さん』なんて呼んでいるけれど、みんなのうちのように毎日家に帰ってきて同じご飯を食べて、休日には遊園地へ遊びに連れて行ってくれるのがお父さんなら、やっぱり気軽に呼んではいけない気がしていた。
お母さんは仕上げのふわふわのゴムを髪の毛に付けてくれて、そっと私の肩に手を置く。
「小枝は私にそっくりね」
鏡に映る私の姿は、たしかにお母さんに似ている。
お母さんの小さい頃のアルバムを見た時に自分が写ってると勘違いしたぐらい、小学生だったお母さんと今の私は瓜ふたつだ。
そういえば頑固で不器用な性格も似ていると、前におばあちゃんが言っていた。