降りやまない雪は、君の心に似てる。


そして、その日の学校が終わって帰り道。指定されている通学路とは違う道を私は歩いていた。

今日の学校も大樹のせいで最悪だった。せっかくみっちゃんと楽しく話していたのに、大樹が途中で割り込んできてから、また友達を取られてしまった。

だからどうしても大樹と一緒に帰りたくなくて、私はわざわざ遠回りをしている。


すると背後から、スタスタと足音が聞こえてきた。

このパターンは何度目だろう。


「はあ……」とため息をついて、「付いてこないで」と振り返ると、見知らぬ人と目が合った。


……大樹じゃない。

それは、ニット帽を深く被った三十代ぐらいの男の人だった。


勘違いしたことが恥ずかしくて、私は再び歩きだす。だけどすぐに違和感に気づいた。


ものすごく遅く歩いているのに追い抜かれない。私が足を止めればその人も止めて、スピードを上げるとその人の足音も速くなる。


そういえば、誰かが変な男に追いかけられたって言ってた。菜々子ちゃんだっけ?いや、今はそんなことはどうでもよくて。

勇気を出してまた後ろを振り返ると、やっぱりその人は足を止めて私を見ている。

しかも無精髭を生やした口元がニヤッと笑って、私は怖くなって走り出した。

< 130 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop