降りやまない雪は、君の心に似てる。
そして、その日の学校が終わって帰り道。指定されている通学路とは違う道を私は歩いていた。
今日の学校も大樹のせいで最悪だった。せっかくみっちゃんと楽しく話していたのに、大樹が途中で割り込んできてから、また友達を取られてしまった。
だからどうしても大樹と一緒に帰りたくなくて、私はわざわざ遠回りをしている。
すると背後から、スタスタと足音が聞こえてきた。
このパターンは何度目だろう。
「はあ……」とため息をついて、「付いてこないで」と振り返ると、見知らぬ人と目が合った。
……大樹じゃない。
それは、ニット帽を深く被った三十代ぐらいの男の人だった。
勘違いしたことが恥ずかしくて、私は再び歩きだす。だけどすぐに違和感に気づいた。
ものすごく遅く歩いているのに追い抜かれない。私が足を止めればその人も止めて、スピードを上げるとその人の足音も速くなる。
そういえば、誰かが変な男に追いかけられたって言ってた。菜々子ちゃんだっけ?いや、今はそんなことはどうでもよくて。
勇気を出してまた後ろを振り返ると、やっぱりその人は足を止めて私を見ている。
しかも無精髭を生やした口元がニヤッと笑って、私は怖くなって走り出した。