降りやまない雪は、君の心に似てる。
怖かった。怖かったけど、それ以上に大樹の顔を見たら安心した。私はそのあともヒクヒクと泣き続けて、大樹は私の手を強く握っている。
「なんでいつもと違う道で帰ったんだよ」
その声は、どこか呆れているように聞こえた。
「ここは通学路じゃないんだから、下校指導の先生もいないし、駆け込んでいい家もないだろ」
通学路には、変な人と遭遇した時のために【子ども110番のマーク】というものが貼ってあって、そこの民家には常に人がいるから助けを呼べるようになっている。
たしかに大樹の言う通り、私が歩いてきた道は周りになにもなくて、大樹が来てくれなかったらもっと怖い目に遭っていたかもしれない。
「それに、なんで防犯ブザーを鳴らさなかったんだよ。小枝のランドセルにも付いてるだろ」
そう言って私のピンク色の防犯ブザーを指さした。
「……だって怖かったんだもん」
消えそうな声で答える。
「バカ!怖い時のために鳴らすもんだろ?」
「ご、ごめん……」
大樹の怒る勢いに押されて、つい謝ってしまった。
「今回はなにもなかったから良かったけど、もしなにかあったらお母さんが悲し――」
「お、お母さんには言わないで!」
私は訴えるように大樹を見た。