降りやまない雪は、君の心に似てる。


***



そして紅葉が色づく秋のこと。日曜日の昼下がりに、私とお母さんと大樹の三人で買い物に行くことになった。

車庫に停めてある白いワンボックスカーのエンジンがかかると、大樹はいつものように助手席のドアを開ける。


「待って!今日は私が前に乗りたい」

「え?小枝はいつも後ろじゃん」

「今日は前に乗りたいの!」

珍しく私はワガママだった。


その理由は、この前みっちゃんに『小枝ちゃんはあんまりお母さんと買い物に行かないんだね』と指摘され、『なんで?』って聞いたら、『車ですれ違う時、いつもお母さんと大樹くんのふたりしかいないから』と言われてしまったから。

いつの間にか、車では大樹が助手席と決まっていて、私はいつもスモークフィルムが貼られている後部座席だった。

だからきっと、みっちゃんは私が車に乗っていないと勘違いしたんだろう。

それでも、なんだかムカついたから、今日は絶対に私が前に乗ると決めていた。


「ほら、出発するよ。ふたりとも早く乗りなさい」

お母さんの言葉で、私は大樹を押し退けて助手席へと座った。


「もう、しょうがないなあ……」

大樹は渋々後ろに座ってシートベルトをした。

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