降りやまない雪は、君の心に似てる。



いつもと同じ車なのに、助手席というだけでテンションが上がる。

「お母さん、音楽つけていい?」

「いいわよ」

この音楽を選ぶのもいつも大樹がやっていて、ふたりが話している横顔を後部座席で見ているだけで寂しくなっていた。

「小枝、音量のボタンは……」と大樹が後ろから指示をしてくるが、せっかく機嫌がいいんだから邪魔をしないでほしい。

私は「分かってるよ!」と強めに言い返して、自分の好きな音楽をかけた。


今日行くスーパーは先週に新しくできたところで、安売りのチラシが家に入っていた。家からはおよそ15分。その間、みっちゃんの家の車とすれ違わないかな、なんて思ったりした。


「ねえ、お母さん。新しくできたスーパーって、この前通り過ぎたところ?」

「そうよ。あの時はまだオープンしてなかったけどね」

大樹とお母さんの会話を聞いて私は口を尖らせる。


……この前って、いつ出掛けたんだろう。私は知らない。

ふたりは、私に内緒で度々出掛けている。内緒にしてるつもりはないかもしれないけれど、私にとってはいい気分じゃない。

大樹はいつもそうだ。甘え上手だからいつもアレ買ってコレ買ってって。私はお母さんを困らせるようなことは言わないのに。

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