降りやまない雪は、君の心に似てる。
それから私はプツリと記憶がない。
気づいた時には病院に運ばれていて、ひんやりと冷たいベッドの上だった。ゆっくりと身体を起こすと頭がズキズキと痛くて、たんこぶのようなものができていた。
「小枝」
名前を呼ばれて横を見ると、そこにはおばあちゃんがいた。
「……なにがどうなったの?」
記憶が散乱していて整理ができない。
「追突事故に遭ったの。それで全員病院に運ばれて……」
「全員?お母さんは……?」
「……隣の部屋にいるわ。小枝より先に目を覚まして手当ても終わってる」
おばあちゃんの目は充血していて、声も震えていた。
お母さんは腰を強く打ったけれどエアバックのおかげで軽傷で済んだようだ。私はすぐにお母さんの病室へと向かって扉を開けた。
「お、お母さん……」
声をかけると、その視線は一瞬私に向けられたが、すぐにまたうつむくように顔を下げる。
お母さんが無事で安心したけれど、私の心臓はまだバクバクとうるさい。ごくりと唾を飲み込んで、私は一番聞きたいことを口にする。
「……大樹は?」
その瞬間、お母さんは糸が切れたみたいに叫びながら泣いた。