降りやまない雪は、君の心に似てる。


私が見たあの光景は見間違いじゃなかった。大樹は死んだのだ。

ハンドル操作を誤った車が右側から追突してきて、それはうちの車の後部座席が陥没するぐらいの衝撃で、大樹は車体の下敷きになった。

警察官の人が病室にきて、おばあちゃんたちに事故の詳しい説明をしていた。

もちろんお母さんも聞いていた。私もその場にいたけれど、難しい言葉が多すぎて頭に入ってこなかった。


ただ、あの事故で命を落としたのは大樹だけだったということ。そして事故は完全に相手の運転手の過失だったということ。その事実だけが現実として残った。


大樹の遺体は、おじいちゃんだけが確認した。

戻ってきたおじいちゃんは血の気が引いた顔をしていて、嗚咽まじりに泣いていた。

きっと、確認した大樹はもうみんなが知っている大樹ではなかったんだろう。


それは家族全員が顔を見させてもらえないくらいのもので、警察の人も遺体の損傷が激しいと言っていた。

怖さというよりもまだ夢の中にいるみたいにリアルじゃなくて私は涙も出なかった。

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