降りやまない雪は、君の心に似てる。
それから私は、俚斗と別れて美瑛駅前でバスを降りた。
おばあちゃん家へと続く帰り道、どこからか無邪気な笑い声が聞こえてきて、小学生の姉弟が私の横を通り過ぎていく。
あの大晦日に見かけた子たちだとすぐに気づく。
やっぱりふたりはおそろいの手袋をしていた。
大樹のことは一日も忘れたことはない。
きっとこの先もあの事故を思い出さない日はないと思う。
弟が私のせいでいなくなってしまったという事実。頭では理解していても、心が追いつかなくて、あの頃から渦巻いている後悔の気持ちは今も変わらない。
この町中を埋め尽くす雪と同じように、どんどん追い詰められて、逃げても逃げてもまた逃げ場所を失う。
右も左も真っ白で、どこに色が付いてたのか思い出せないほど、ずっともがいていた。
『小枝に必要なのは強さじゃない。受け入れる勇気だと俺は思うよ』
うん。私もそう思う。
家に着いた私は、お母さんへと繋がる電話番号を見つめる。いつの間にか正座をしていて、ドクンドクンと、臆病な心臓がうるさい。
でも、私も逃げたくない。俚斗から背中を押す言葉をもらったから。
そして私はゆっくりと発信ボタンを押した。
耳元でコール音が鳴るたびにドキドキとして、倒れてしまいそうなほど緊張している。
プルルルと5回。
『はい』
聞こえてきたのは、久しぶりに聞くお母さんの声だった。