降りやまない雪は、君の心に似てる。
そしてそのあと、おばあちゃんが買い物から帰ってきた。
すぐにリビングに料理のいい匂いが漂ってくる。どうやら温かい鍋を作ってくれているようだ。
テーブルにガスコンロを置いて鍋をのせると、グツグツと鍋の蓋から湯気が出る。
取り分ける小鉢に入れられたおろしポン酢とゆず胡椒。本当に毎日美味しい料理を作ってくれるおばあちゃんには感謝してもしきれない。
「おばあちゃん」
「んー?なに?」
おばあちゃんは鍋の蓋を開けて、白菜の柔らかさを菜箸(さいばし)で確認していた。そんな様子を見ながら、私は静かに唇を動かす。
「お母さんと話したよ」
おばあちゃんは驚くこともなく、ただ優しく「そう」と返事をしただけ。
おばあちゃんはいつだって私の味方だった。だから私がギリギリの場所で踏ん張ってこられたのは、おばあちゃんが私のことをちゃんと見ていてくれたからだ。
「ありがとう、おばあちゃん。お母さんに色々言ってくれたんでしょ」
「ううん。私はなにもしてないわ」
「……私が帰ったら寂しくない?」
こうしてご飯を食べるのも、朝早くの雪かきだって、私が東京に行けばおばあちゃんはひとりでする。
私が来てからおばあちゃんは毎日楽しそうにしてから、とても心配だ。
「ふふ、平気よ」
おばあちゃんはいつもと変わらない優しい顔で微笑む。