降りやまない雪は、君の心に似てる。
そんなことを思いながらビニール袋を鳴らして、来た道を戻る。どこを見ても真っ白な世界で、美瑛町が雪で埋もれてしまうのではと思うほどだった。
冬休みもあとわずか。
この町に帰ってきたときは本当に地に足が着いていない状態で、先のことも今のことも冷静に考えられないくらい気持ちに余裕がなかった。
だけど、こうして雪の道をひとりで歩いていると改めて思う。
この町に来てよかった。
おばあちゃんのこともお母さんのことも大樹のことも、ちゃんと向き合える時間を過ごせたこと。
だけど、なにより一番は、また俚斗に会えたこと。
俚斗という存在が、私を正しい道へと導いてくれた。
この降り積もる雪のように俚斗への想いも積み重なっていく。
家に到着し、おばあちゃんは『手伝わなくていい』と言ってくれたけど、庭先にある雪をどうにかしないといけないし、それをおばあちゃんひとりに任せて出掛けてしまうのも心苦しい。
とりあえず家の周りだけでもと雪かきを再開させて、雪捨て場の公園まで四往復。寒いはずなのに額にはじっとり汗が滲んでいた。
「ありがとうね。小枝。時間は大丈夫?」
「うん、平気だよ」
赤色のスコップを物置小屋へと閉まって、一段落ついた頃には空の色が変わろうとしていた。