降りやまない雪は、君の心に似てる。


結局、私が青い池に向かったのは夕方だった。

池に着くと、夕焼けが山を赤色に染めていた。
凍った池にそれが反射して、まるでペンキで絵を描いたように美しい。


この感動を誰かと分かち合いたいのに、俚斗はいつもの場所にはいなかった。


一応、遊歩道や他の場所も確認したけれど、俚斗の姿は見当たらない。変わらずにあるのは、ふたりで作った雪だるまだけ。

もしかしたら帰ってしまったのかもしれない。それか、ドカ雪のせいで来れなかったという可能性もある。

だけど青い池に俚斗がいないことが初めてだから、胸が妙にザワザワとしてしまう。


昨日は帰り際に苦しそうにしてたし、あれから身体に異変があったんじゃ……。

そう考えるだけで、いても立ってもいられない気分になった。でもそれを確かめるすべはない。

もし逆の立場だったら俚斗はどうするだろう。

俚斗はマイナス思考じゃないから、ポジティブなことを考えて気持ちを落ち着かせる方法を知っていそうだ。

それに比べて、私は全然ダメ。俚斗のことになると余計に。


暫く待ってみたけれど、その日俚斗が姿を現すことはなかった。

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