降りやまない雪は、君の心に似てる。
……寺本だ。なんなの。会いたいのはアンタじゃないのに。
私は視線も合わせず、その声が聞こえないふり。だけど雪を踏み締める音は私に近づいてくる。
「よく会うね。やっぱりこの辺に住んでるんだ」
右耳にしているピアスがゆらゆら揺れていて、私はあからさまにイヤな顔をした。
「俺ね、この近くに彼女が住んでんだよね」
ものすごくどうでもいい情報。
寺本は明らかに遊び人っぽいし、前も何人かの女の子が取り巻いていた。
そして寺本は、どうしても俚斗の話題を出さないと気が済まないようだ。
「もしかして、これから吉沢と会うの?」
私はイライラしながらスマホの時計を確認する。バスが来るまであと5分だ。
「だったら諦めたほうがいいぜ」
「は?」
「だって吉沢、昨日から寝込んでるし」
「え……」
寺本の言葉に私は固まる。
「……ど、どういうこと?」
無視していた寺本に思わず詰め寄ってしまった。