降りやまない雪は、君の心に似てる。
北海道の空気はひんやりと冷たくて、肺がビックリしているのを感じた。
気温を知らせる電光掲示板には【-10℃】と表示されていて東京の人だと目を丸くしてしまう数字だけど、北海道民にとって日常茶飯事の気温だ。
横殴りの吹雪は顔に当たるたびに突き刺すように痛くて、車に乗り込むまでのわずかな間に着てきたキャラメル色のダッフルコートが真っ白になっていた。
「大丈夫?出発するよ」
おばあちゃんの言葉に私はこくりと頷いて車はゆっくりと進みはじめた。
車内は暖かくてスピーカーからはラジオの音楽が流れている。外ではさらに雪の強さが増していてワイパーを全開にしてもすぐに窓が白く染まっていく。
叩きつけるような雪の音を聞きながら、私は暖房で曇ったガラスを手で拭き取る。
東京では絶対に見ることができない景色。
山や森が一面雪に埋もれていて、ひょっこりとキツネが出てくることもあるんだとか。
同じ日本とは思えないほど別世界で、本当に北海道に来たんだな……と改めて思う。
「家まで1時間くらいだから寝てもいいからね」
「うん」
ほとんど一本道の道道966号線。その看板すら見えないほど真っ白で私は静かに目を瞑った。