降りやまない雪は、君の心に似てる。


お風呂は少し熱めの43℃だったけど、冷えた身体をお湯につけると一気に肌の硬さが和らいだ。

「はあ……気持ちいい」

自然とそんな言葉が出てきた自分にビックリしたけど、あのまま東京にいたらこんな気持ちにはなってなかったから、おばあちゃんには迷惑をかけてしまうけど北海道に来て良かったのかもしれない。


ちゃぽん……と天井から落ちた水滴が頬に当たる。それを冷静に眺められるぐらい私は落ち着いてる。

だけど、ひとつだけ。


――『久しぶりに誰かと話せて楽しかった。またね』

俚斗のあの言葉。それだけが何故か頭から離れない。


吉沢俚斗。本当に独特の空気を持っていて、その余韻が今も続いてる気がする。

私も久しぶりにこんなに喋った。


初めてひとりで飛行機に乗って、久しぶりにおばあちゃんに会えて、そしてまた美瑛町に戻ってきた。

これからどうするのか。
いつまでいるのか。

私はどうしたらいいのか。


それさえもまだ曖昧だけど、今日はとりあえず東京では感じられなかった安心感に包まれていたい。

< 20 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop