降りやまない雪は、君の心に似てる。


空港から外に出ると、自然豊かな北海道の匂いがした。

駐車場に停めてあるおばあちゃんの車に乗り込むと、シートベルトをつけた。


「出発するよ」

おばあちゃんが宣言して、車はゆっくりと動き出した。


美瑛町まで約一時間。一本道の道道966号線。
冬休みに来たときはひどい吹雪でその看板すら見えないほどだったのに、今は窓を叩きつける雪はない。

少しだけ窓を開けると、爽やかな風が前髪を揺らした。


この肺を通り抜ける風は、やっぱり高層ビルに囲まれている東京とは違う。

雪なんてもう懲り懲りだって思っていたのに、いざ雪が降らない場所で生活をすると寂しさが込み上げてきて、なにに対しても無関心だった冬休み前の私には戻れなくなった。


お母さんとの関係も学校のことも良い方向に進んでいるのに、あの日から私の心にはぽっかりと穴が空いてしまっている。

おばあちゃんの家に着くと、お母さんは目を潤ませて懐かしそうな顔をしていた。
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