降りやまない雪は、君の心に似てる。
俄雪と不香の花
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北海道の朝は早い。
カーテンの向こう側ではザクザクとなにやら奇妙な音が響いていて、一応目覚ましの設定はしてあったけど、その前に目が覚めた。
布団から出るとすぐに身震いするほどの寒さに襲われて、私は厚手のダウンジャケットを羽織って外に出る。
「うわ……」
そこは一面真っ白な世界。
私が寝ている間にも雪は降り続けて、足を一歩踏み出すとブーツが埋もれてしまうほどの積雪だった。
「あら、小枝」
家の前ではおばあちゃんが赤色のスコップを片手に雪かきをしていた。さっきのザクザクというのはこの音だ。
「手伝うよ」
「大変よ。大丈夫?」
「平気」
私は家の物置小屋からもう一本のスコップを持ってきた。雪はサラサラとしてるけど、スコップで持ち上げるとかなりの重さでこれは確かに大変だ。
雪国の人は冬の間はほぼ毎日こんな風に雪かきをしなければならない。それを高齢者であるおばあちゃんがするにはかなりの重労働だと思う。
「どこに運べばいい?」
「あそこの突き当たりの空き地よ」
家の前の道路はすでに路肩に雪の壁ができていて、夜中に除雪車(じょせつしゃ)が入ったのかもしれない。
それでも除雪車がやってくれるのはあくまで車が通る車道だけ。他の場所の雪かきはこうしてみんな手作業だ。