降りやまない雪は、君の心に似てる。


大丈夫かな、と不安な気持ちもあったけれど、心配する必要はなかったみたいだ。

GWに北海道へ行くことが決まって、私はお母さんに聞いてみたのだ。近所の人たちに会うのは平気かどうかを。

お母さんや私がいくら変わっても、変わらないものはある。

私が冬休みに来た時も近所の人はお母さんのことを噂していたし、これでまたお母さんの心が閉じてしまわないか心配だった。


『平気よ。どんなに噂されても、どんなに過去のことを言われても、私には小枝もお母さんもいるし、全然気にならない』

お母さんはそう答えた。


あの不安定で弱かったお母さんは随分と強くなった。

そんなことを思っていると、リビングにゴーンと古時計の音が鳴り響いた。針はちょうど12時を指していて、私も出掛けることにした。


美瑛駅に向かって、停留所でバスを待つ。

久しぶりに乗る道北バスの席は、もちろん一番後ろ。プシューッとドアが閉まったあとバスは静かに動き出した。
< 211 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop