降りやまない雪は、君の心に似てる。


スコップですくった雪を空き地に捨てに行って、またスコップで雪かきをしての繰り返し。それを三往復したところで運動不足の私は手に力が入らなくなってきた。


「明日筋肉痛になっちゃうんじゃない?」

おばあちゃんはまだ余裕の表情でさすがとしか言いようがない。

北風が吹くたびに白い粉雪が舞って冷たい。それでも額にはほんのりと汗をかいていて、寒さと汗でなんともいえない気持ちわるさを感じた。


「筋肉痛になってもいいよ」

むしろ今の私にできることは雪かきぐらいしかないし。

私は当たり前のことを言っただけなのに、おばあちゃんは「ふふ、ありがとうね」と嬉そうな顔をしていた。


そんな話をしている間に他の家からも次々と住人たちが出てきて屋根の雪降ろしをしたり、車が出入りできるように雪を押し出したり大忙し。

……やっぱり雪国の冬は大変だ。


「洸野さんおはよう。こんなにしばれる12月は久しぶりねー」

するとそこへひとりの女性がおばあちゃんに声をかけてきた。年齢はおばあちゃんと同じくらいで60代ぐらい。

雪を捨てにきた途中なのか手にはリアカーを押していた。おばあちゃんとはかなり親しそうで、雪かきを忘れて話し込んでいる。


「1か月季節がずれてるんじゃないかしらね」

「本当ね。この雪が続くと思うと気が滅入るわ」

ふたりの会話を聞きながら私は黙々と玄関の前に積もっている雪を掻き出していた。


東京から来た私には分からないけど、今年の北海道は例年に比べて雪の量が多くて寒いらしい。

上空には雪雲が常に停滞していて、今日の札幌は大荒れ。美瑛もまた夕方から冷え込むとニュースでやっていた。

やっぱり私は北海道という土地に歓迎されてないのかもしれない。
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