降りやまない雪は、君の心に似てる。
「菜々美に小枝ちゃん来てるって話しておこうか?そしたら久しぶりに小枝ちゃんも……」
「い、いいです!大丈夫です!!」
思わずスコップの手を止めて食いぎみに言葉を返す。
「こっちには少し羽を伸ばしにきただけなので。それに私はすぐ東京に帰るし、中途半端に会っても寂しくなるだけですから」
饒舌な嘘が自然と口から出てきた。
いま自分がどんな顔をしてこんなことを言ってるのか分からないけど、少し頬が吊り上がった気がしたから、きっと作り笑いを浮かべているんだろう。
そんな心もなにもない笑いかたができる自分が怖くなる。
「そうね。小枝ちゃんも〝あのこと〟があって美瑛を離れることになったけど、また長い休みの時には帰ってきてね」
「……はい」
かじかむ指先が震えた。それを寒さのせいにしながら、私はまた黙々と雪かきの続きをはじめる。
狭い町は噂が消えづらい。あの家はこうだとか、あの時はこうだったとか、みんな他人の不幸話を広げたがる。
きっとこれで私が帰ってきたことはすぐに近所に知れ渡るだろう。そして憶測を並べて、私の家族のことを面白おかしく話すんだ。