降りやまない雪は、君の心に似てる。


……なんだか少し気にくわない。

あんなに必死で手を伸ばしていた自分がバカみたい。


「……どうも」

愛想のないお礼を言ってスマホを受け取った。

受け取ったスマホはひんやりと冷たくて、まるで冷凍庫の中に入れたみたいだ。


「大丈夫?壊れてない?」

確認したスマホはちゃんと電源もついてるし、画面もそのままの状態だった。


「落ちたぐらいじゃ壊れないよ」

私がそう言うと俚斗は「そっか」と意味深に眉毛を下げる。なんだかその顔が悲しそうに見えたけど、それを聞く前に「あ……」と俚斗の視線が変わってしまった。

私も合わせるように空を見上げると、またパラパラと生まれたての雪が降ってきた。


「また今日も冷え込むね」なんて、俚斗が言いながら黒いコートに雪が落ちていく。


「……やっぱり降った」

私は小さな声で呟く。


「小枝は雪が嫌い?」

「ううん。そうじゃないけど、なんか私がいる間は晴れないような気がするだけ」


晴れていたと思って洗濯物を出したら急に影ってきたり、取り込んだかと思えばまた晴れてきたり。

元々天気に恵まれた体質ではなかったけれど、たまにどこかで神様が私のことを見てるんじゃないかなって。

だから、私が来てから北海道の天気は不安定。

今日も絶対に雪が降ると思ってた。


「小枝は雪女なの?」

俚斗の言葉に私はムスッと睨みつける。それなのに俚斗はからかうようなズルい顔をしていて、本当になにを考えてるか分からない不思議な人。
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