降りやまない雪は、君の心に似てる。
きっと俚斗はこんなことを安易に話す人じゃない。まして奇病なんて一歩間違えればおかしな人と思われても不思議じゃない。
それでも俚斗は嘘をつかずに話してくれた。
忘れかけていた〝嬉しい〟という感情を久しぶりに感じることができた気がしてる。
「俺のこと、怖くなった?」
俚斗がおそるおそる言う。
「病気のことを知った人はみんな俺のことを怖いって言うんだ」
俚斗がどんな人生を歩んできたのか私は知らない。でも俚斗がこうして毎日青い池に来ること、そして他人なんてどうでも良かった私が俚斗を気にしてしまうワケ。
それはきっと、俚斗が私と同じで孤独を知ってる人だからだと思う。
「怖くないよ。私は俚斗のこと、怖いなんて思わない」
何故か2回繰り返して言った。
「それに私も同じ。東京ではドライアイスって言われてた」
「……え?」
「喋らないし笑わないし動かないから石女とも言われた」
人は他人の評価を下げることで自分の立場を優位にする。
なにかひとつ違うことがあるだけで勝手に一線を引いて、傷つけてもいいカテゴリーに入れられる。
だから私は俚斗が奇病を患っていても普通の人と違うとは思わない。そう思ってしまえば私は自分のキライな差別する側の人間になってしまう。