降りやまない雪は、君の心に似てる。
それから食べ終わった食器の後片づけを私が担当して、洗ったお皿を乾拭きしているとリビングに電話が鳴り響いた。
周りを見渡してもおばあちゃんがいない。
おばあちゃんの家の電話はいまだにダイヤル式の黒電話で昭和にタイムスリップしたみたいなベルの音が鳴り続けている。
私は一瞬迷ったけど、大事な用事かもしれないと電話が切れる前に受話器を取った。
『はい。洸野です』
電話の向こう側の主はいきなり若い女の声がして戸惑った対応をしてたけど、すぐに用件を話して私がおばあちゃんに伝えることになった。
「……あら?もしかして電話鳴ってた?」
受話器を置いたあと、すぐにおばあちゃんがリビングに戻ってきた。
「うん。松村さんって人から」
「ごめんね。物置小屋の整理をしてたから気づかなかったわ。なんだって?」
「なんか鮭がどうのって」
「あ!そうだわ。鮭!」
私が用件を伝える前におばあちゃんが思い出したように声をあげる。
「鮭を貰う約束になってたのよ。松村さんの甥っ子さんが漁師をしててね。本当に美味しいのよ。スーパーの魚が食べられなくなるぐらい」
今日のしまホッケもその松村さんに譲ってもらったものだったらしい。たしかにスーパーで買う魚よりもずっと身がふっくらとしていて、私もぺろりと完食してしまったけど。