降りやまない雪は、君の心に似てる。
「今日はその鮭で三平汁にしましょう!すごく身体が暖まるのよ」
おばあちゃんはそう言って早速松村さんの家に出掛けた。
おばあちゃんはひとりきりだなんて勝手に思ってたけど、そうじゃない。
雪かきをすれば近所の人が手伝ってくれて、こうして食材を分けてもらったり、助け合える人たちとの繋がりがたくさんある。
それはきっとおばあちゃんの人柄で、私も血が繋がっているはずなのにどうしてそれは遺伝しなかったんだろう。
頑固で譲らない性格はお母さん似。
じゃあ、自分勝手で都合の悪いことから逃げる性格は……。
そんなバカなことを考えている自分に失笑しながら、ふと目線をずらすとリビングと繋がっている居間の襖が少しだけ開いていて、そこから白檀(びゃくだん)の香りがした。
その匂いに導かれるように自然と私の足は居間のほうへ。
開いている襖から中を覗きこむと、そこにはまだ真新しいお線香が置いてあって、また強い香りが私の鼻を通りすぎていく。
仏壇にはご先祖さまとおじいちゃんの遺影。そしておばあちゃんが毎日供えている綺麗な花。
その花の横に置かれている遺影とは違う一枚の写真。
写っている人物の顔はキラキラとした笑顔を浮かべていて、ひどく責め立てられてるような気持ちになる。
ああすればよかった。こうすればよかったと、胸を締め付ける後悔は昔よりも今のほうがずっと強い。
私はどうすればよかったの?
どうしたら正解だったの。
どうしたら、きみと運命を交換できたの。
ねえ、だれか教えてよ。